さぶ

江戸下町の経師屋、芳古堂に住みこむ同い年の職人の栄二とさぶ。器用な栄二と不器用だが実直なさぶの二人は幼いころからのよい仲間だった。そんなある日、栄二は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。やけになった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られる。ここを出たら復讐してやろうと世間を恨んでばかりいる栄二だったが、そこでの色々な出来事や人々との心のふれあいにより徐々に前向きな心を取り戻していく。

人間社会や人間の心理に対する作者の深い洞察が表現された名作といえるだろう。