とんぼ

Dragonfly

ミステリー: 東陽銀行執行役員である山根幸太郎は、米系投機ファンド主催のパーティで中国系女性・ルー・スーツェンに出会う。二人は意気投合しビジネスとプライベートの関係を保ちながら逢瀬を重ねる。ある日、スーツェンは、ビジネス面で幸太郎の妥協を求める。
幸太郎の妻・佳代は、夫の浮気を察知。相手の正体を突き止め、直接本人に会い問いただす。一方、その朝、幸太郎は副頭取に呼び出され、スーツェンとの関係を追及される。彼女に協力したことが背任行為であると指摘され、辞職せざるをえなくなる。
スーツェンに事情を説明した夜、二人はお互いを慰めるため、はじめてベッドインするが、スーツェンの右脇腹にあるトンボの刺青がその邪魔をする。母親から刺青を他人に見せると見た人間に不幸が起ると教えられてきた。ところが、幸太郎はそのトンボの刺青が二つの黒子の上に彫られていることを知り、スーツェンが二十五年前ニューヨークで誘拐された娘の麻紀であることを確信する。
山根夫妻は、自分たちが実の両親であることを本人に告白する。半信半疑のスーツェンは、ニューヨークに戻り、出生証明書が自分のものでないことを確認した上で、母・麗華に真実を糾す。麗華は、スーツェンを友人からもらったと説明。
佳代は娘を誘拐犯から取り戻すと主張するが、本人は、母親が自分を誘拐したとは認めず、二十五年振りに再会した母娘はお互いの立場を受け入れられないというジレンマに陥る。佳代は、麗華に手紙を書き、娘から身を引かねば警察沙汰にすると脅迫。麗華は、娘を愛する余り自らの命を絶つ。母を失ったスーツェンは、佳代を恨むが、母の自殺の真意を知り、日本で実の両親の元へ帰る決意をする。
ところが、日本に来てみると、佳代は失踪して行方不明になっていた。全員で手分けして捜索したところ、佳代は真の誘拐犯であったアンナの住むロスアンゼルスに行っていることが判明。幸太郎とスーツェンは、佳代を追いかけるようにロスに発つ。ロスで、佳代の居場所を見つけるが、佳代は車に跳ねられ、意識不明で救急病棟に寝かされていた。二人は病床に駆けつけ、佳代の意識が戻るのを待つ。