わたしの歩いてきた道

Nonfiction, Social & Cultural Studies, True Crime, Espionage, Religion & Spirituality, Philosophy, Fiction & Literature
Cover of the book わたしの歩いてきた道 by 西原 けい, イーブックスパブリッシング
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Author: 西原 けい ISBN: 1230001709957
Publisher: イーブックスパブリッシング Publication: June 9, 2017
Imprint: Language: Japanese
Author: 西原 けい
ISBN: 1230001709957
Publisher: イーブックスパブリッシング
Publication: June 9, 2017
Imprint:
Language: Japanese

【 は じ め に 】より抜粋

私が生まれた一九三一年。その年の九月に、日本の満州駐屯軍が南満州鉄道を爆破しました。
日本は、それを中国軍がしたことだとして満州の大部分を占領するという大きな出来事、満州事変が起きました。

それ以前の日本は第一次世界大戦で勝利したことにより好景気でしたが、
その後関東大震災や金融恐慌、昭和恐慌などの影響から景気が悪化していきました。

この状況から抜けだそうと大陸進出を図るために満州事変が起きたのです。
満州事変の翌年満州国が建国しました。もちろんこの時、まだ1歳だった私は、
その当時のことを知るわけではありません。

けれど、この満州事変がのち、私たちを苦しめる大東亜戦争につながってしまう出来事だったということは、
海軍将校だった私の父から話を聞いて知ることになりました。

私が小学生になると間もなく、第二次世界大戦が始まりました。
そして小学校を卒業する前にはあの大東亜戦争が始まってしまったのでした。

大東亜戦争は、本当に恐ろしい戦争でした。岩手県の田舎までも影響を及ぼし、
女学生だった私は、それまでご縁がなかった知らない農家へ住み込みで農作業のお手伝いに行かなくてはなりませんでした。
そして日本が敗戦し、戦争が終わると、私は親に言われる通りに、東京に嫁ぐことになりました。

恐ろしくつらい体験をした戦争でしたが、実はその記憶よりも強く私の心に残っているのは、たったひとりぽっちだと感じた初めの結婚生活でした。
今までの人生の中で、あれほどつらく苦しい時はありません。

東京に来るときに乗った電車のスピードが速くて怖かったこと。
そしてどこか遠くに連れて行かれるようで不安に感じました。
東京に出てきて、六十五年以上の月日が経ちました。

あの時乗ってきた、電車のスピードのようにあっという間の六十五年間でした。
今の私はといえば、昨日受けた健康診断でも問題もなく、杖をつくようにはなりましたが、
自分の足でどこでも行くことができます。それはなんて幸せなことでしょう。

そして何よりも幸せなのは、現在一緒に毎日を過ごす夫がいてくれるということです。
そんな今の幸せはきっとあの時つらいことを耐えてがんばったご褒美なのかもしれません。
今が幸せだからこそ、過去を振り返ることができるものです。
きっと皆さんにも共感していただけることがあるかもしれません。

最後まで読んでいただけましたなら幸いです。

【 も く じ 】

■はじめに

■第一章 幼少・学生期

・戦争の時の学校
・戦争の記憶
・忘れられないアイオン台風のこと
・よしこちゃんのこと

■第二章 結婚生活

・結婚までの経緯
・結婚後の生活
・親切な人との出会い
・姑と子どもたち
・外でのアルバイト
・私の決意
・新宿で働く
・懐かしい昭和の歌舞伎町
・お客様のこと
・子どもとのこと

■第三章 そして再婚

・アルバイトのかけ持ちをする
・出会い
・夫への感謝
・海外旅行の思い出

■第四章 現在

・結婚前後の記憶
・再婚後のこと
・新しい職場で
・退職
・夫のこと
・夫への想い
・伝えたいこと
・これまでがあるから

■おわりに

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【 は じ め に 】より抜粋

私が生まれた一九三一年。その年の九月に、日本の満州駐屯軍が南満州鉄道を爆破しました。
日本は、それを中国軍がしたことだとして満州の大部分を占領するという大きな出来事、満州事変が起きました。

それ以前の日本は第一次世界大戦で勝利したことにより好景気でしたが、
その後関東大震災や金融恐慌、昭和恐慌などの影響から景気が悪化していきました。

この状況から抜けだそうと大陸進出を図るために満州事変が起きたのです。
満州事変の翌年満州国が建国しました。もちろんこの時、まだ1歳だった私は、
その当時のことを知るわけではありません。

けれど、この満州事変がのち、私たちを苦しめる大東亜戦争につながってしまう出来事だったということは、
海軍将校だった私の父から話を聞いて知ることになりました。

私が小学生になると間もなく、第二次世界大戦が始まりました。
そして小学校を卒業する前にはあの大東亜戦争が始まってしまったのでした。

大東亜戦争は、本当に恐ろしい戦争でした。岩手県の田舎までも影響を及ぼし、
女学生だった私は、それまでご縁がなかった知らない農家へ住み込みで農作業のお手伝いに行かなくてはなりませんでした。
そして日本が敗戦し、戦争が終わると、私は親に言われる通りに、東京に嫁ぐことになりました。

恐ろしくつらい体験をした戦争でしたが、実はその記憶よりも強く私の心に残っているのは、たったひとりぽっちだと感じた初めの結婚生活でした。
今までの人生の中で、あれほどつらく苦しい時はありません。

東京に来るときに乗った電車のスピードが速くて怖かったこと。
そしてどこか遠くに連れて行かれるようで不安に感じました。
東京に出てきて、六十五年以上の月日が経ちました。

あの時乗ってきた、電車のスピードのようにあっという間の六十五年間でした。
今の私はといえば、昨日受けた健康診断でも問題もなく、杖をつくようにはなりましたが、
自分の足でどこでも行くことができます。それはなんて幸せなことでしょう。

そして何よりも幸せなのは、現在一緒に毎日を過ごす夫がいてくれるということです。
そんな今の幸せはきっとあの時つらいことを耐えてがんばったご褒美なのかもしれません。
今が幸せだからこそ、過去を振り返ることができるものです。
きっと皆さんにも共感していただけることがあるかもしれません。

最後まで読んでいただけましたなら幸いです。

【 も く じ 】

■はじめに

■第一章 幼少・学生期

・戦争の時の学校
・戦争の記憶
・忘れられないアイオン台風のこと
・よしこちゃんのこと

■第二章 結婚生活

・結婚までの経緯
・結婚後の生活
・親切な人との出会い
・姑と子どもたち
・外でのアルバイト
・私の決意
・新宿で働く
・懐かしい昭和の歌舞伎町
・お客様のこと
・子どもとのこと

■第三章 そして再婚

・アルバイトのかけ持ちをする
・出会い
・夫への感謝
・海外旅行の思い出

■第四章 現在

・結婚前後の記憶
・再婚後のこと
・新しい職場で
・退職
・夫のこと
・夫への想い
・伝えたいこと
・これまでがあるから

■おわりに

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