Author: | 奥田優曇華 | ISBN: | 1230001564068 |
Publisher: | 発掘刊行館 | Publication: | February 27, 2017 |
Imprint: | Language: | Japanese |
Author: | 奥田優曇華 |
ISBN: | 1230001564068 |
Publisher: | 発掘刊行館 |
Publication: | February 27, 2017 |
Imprint: | |
Language: | Japanese |
大正14年(1925年)に発刊された垂涎の東京グルメガイド!
寿司、天ぷら、蕎麦、蒲焼のみならず、洋食、支那料理、菓子、汁粉ほか、
著者が食べ歩き、見聞きし、厳選した東京の名店を紹介。
今はなき、あるいは今なお残る名店の当時の様子を知る貴重な文献であり、
読んで腹鳴り、喉音たてる、大正・食の漫録記。
食べられるうちに、食べておけ!
◇著者・巻頭の序文より
村井弦齋のような料理博士でもなく、矢田挿雲ほどの、江戸研究もしていない。生き馬の目の抜く東京に飛び出してから、彼是拾五年、人にだまされねば思いも寄らぬ災難ばかりを受け、かつて何一つ成功したことのない、事業好きの四拾男が、生来の食いしん坊ぶりを発揮して、漁り歩いた漫録である。
世間から太鼓の判を押されている評判料理で、行脚記から抹殺したのもあれば、開業ほやほやで余り知られていなくとも、調味万端の行き届いた店は、このお筆先に載せることにした。
図々しくも老舗の看板や、人気のあるのを振りかざしてその実、お客に煮え湯を呑ませる店もあれば、暖簾名だけを高い権利金で買い受けて、胴体は羅宇のすげ替えもある。客は一切ご存じなし、雁首の暖簾をくぐっただけで、悦に入ってござるのは、笑止千万、気の毒至極である。
漫録として筆を起こしたので、その店の料理談、苦心談、由来談から史実の裏面史とも言うべき、風俗世態の一端について、見たこと聞いたことを、書き綴ってみた。
蒲焼屋あり洋食屋あり、支那料理もあれば一品料理もあり、天ぷら屋あり蕎麦屋あり、菓子屋あり、汁粉屋もあり、著者が白羽の矢を立てたうちで、その粋を引っこ抜いたのが、そもそも是れである。
特権階級でなくば、芸者本位の贅沢極まる料理は我々民衆が目指す的ではない。あくまでも料理の実質と、その環境に立脚して、世評に基づき独断を避けたが、詮衡(せんこう)の可否は、個々の意見もあろうと思う。
要するに之れが結論は、客に対して忠実であるか否かである。
大正十四年の初夏
著者識
◇本書で紹介されている料理店(掲載順)
※太字は現在(2016年11月)でも営業していることが確認できたお店です。
・春風 [天ぷら](日本橋)
・橋善 [天ぷら](新橋)
・抜天堂 [かすてら](日比谷)
・花むら [お手軽料理](室町)
・花屋 [お座敷天ぷら](濱町)
・橋本 [蒲焼](江戸川)
・虎屋 [饅頭と羊羹](赤坂)
・陶々亭 [支那料理](日比谷)
・豊田屋 [猪料理](両国)※現「ももんじや」
・ちまきや [餅菓子](赤坂)
・近定 [薯羊羹](向柳原)
・地久庵 [蕎麦](神保町)
・大和田 [蒲焼](六本木町)
・大常盤 [和洋料理](小川町)
・偕楽園 [支那料理](傳通院)
・丸びる 花月 [日本料理](丸の内)
・金田 [鶏鍋](浅草)
・蠣廣 [牡蠣料理](新宿)
・海曄軒 [支那料理](本石町)
・日比谷 花月 [和洋料理](日比谷)
・興兵衛鮨 [握り鮨](両国)
・米久 [牛鍋](浅草)
・大增 [折詰料理](室町)※現「日本ばし 大増」
・蓮玉庵 [蕎麦](上野)
・仲清 [天ぷら](浅草)※現「中清」
・来々軒 [甘栗](桜田本郷町)
・雲水庵 [雲水料理](向島)
・中田 [兎料理](須田町)
・うぐひす [鳥料理](江戸川)
・梅村 [雑煮](日本橋)
・梅園 [汁粉](浅草)
・伊奈佐 [鯨料理](両国)
・空也堂 [最中](上野)
・藪蕎麦 [茶蕎麦](須田町)
・山喜 [鮮魚料理](大塚)
・山の萬世庵 [蕎麦](浅草)
・まるや [すっぽん料理](上槇町)
・松崎 [煎餅](京橋)※現「京橋松崎せんべい」
・風月 [西洋料理](京橋)
・深川屋 [蒲焼](下谷)
・風月堂 [菓子](南鍋町)※現「株式会社東京風月堂」
・鴻之巣 [西洋料理](銀座)
・小満津 [蒲焼](京橋)※現在は直系のご家族が東高円寺に移転して営業中
・胡萩堂 [萩の餅](新橋)
・幸樂亭 [牛鳥料理](日比谷)
・言問亭 [言問団子](向島)現「向島 言問団子」
・駒形泥鰌 [泥鰌料理](浅草)※現「駒形どぜう」
・東亭 [西洋料理](三崎町)
・東壽司 [握り鮨](日本橋)
・揚出し [豆腐料理](上野)
・秋茂登 [汁粉](浅草)
・赤瓢箪 [一品料理](銀座)
・笹の雪 [豆腐料理](上根岸)
・更科 [蕎麦](永坂)
・龜樂 [煎餅](銀座)
・紀の善 [寿司](神楽坂)※現在は甘味処として営業中
・三河屋 [牛鍋](四谷見附)
・重箱 [川魚料理](山谷)
・食道樂 [江戸っ子料理](上野広小路)
・塩瀬 [饅頭](有楽町)※現「塩瀬総本家」
・拾二ヶ月 [汁粉](三十間堀)
・島村 [鶉料理](通四丁目)
・恵比寿亭 [牛鳥料理](神楽坂)
・榮太僂 [羊羹と甘豆納糖](日本橋)※現「榮太樓總本鋪」
・平野家 [京都料理](日比谷)※東京支店は現存していないが京都に本店がある
・氷月亭 [汁粉](上野)
・森八 [落雁](本石町)※東京支店は現存していないが金沢に本店がある
※本文中に記載されている住所、電話番号は当時のものです。
◇行脚茶話(エッセイ)
・甘栗の儲け振り
・鰻の軽子賃
・藤村の羊羹
・冬木庵
・コックの王冠
・剣呑なフライ料理
・東亭の日課
・俳優の好む座敷
・業平団子面喰ふ
・独逸の蠣料理
・末廣の水炊
・八百善
・蕎麦屋丼の元祖
・合の子辯富の元祖
・鰻取り召せ
・曹達水笑話
・汁粉の濫觴
・女給の元祖
・支那料理の解説
・羊羹は儲け過ぎる
・ビアホールの元祖
・天狗の小料理
・珍談西瓜の種
・丸新の天ぷら
・支那の本場料理
・日比谷の八洲亭
・歌舞伎の食堂
・鈴辯最後の鰻飯
===
※本書は国会図書館デジタルコレクションがインターネットで公開しているデジタルデータを元に制作しました。原著となる「食行脚 東京の巻」は「合資会社 協文館」から大正14年に発行されました。同作品は著作権保護期間を満了したパブリックドメインです。内容には一切手を加えておりません。一部読みにくいところや、現代では自粛すべき表現、一般に通用しにくい言い回しなども含まれております。ご了承ください。
※本書はすべて画像で構成されております。
表紙イラスト:川瀬巴水「東京十二題 日本橋(夜明)」より
大正14年(1925年)に発刊された垂涎の東京グルメガイド!
寿司、天ぷら、蕎麦、蒲焼のみならず、洋食、支那料理、菓子、汁粉ほか、
著者が食べ歩き、見聞きし、厳選した東京の名店を紹介。
今はなき、あるいは今なお残る名店の当時の様子を知る貴重な文献であり、
読んで腹鳴り、喉音たてる、大正・食の漫録記。
食べられるうちに、食べておけ!
◇著者・巻頭の序文より
村井弦齋のような料理博士でもなく、矢田挿雲ほどの、江戸研究もしていない。生き馬の目の抜く東京に飛び出してから、彼是拾五年、人にだまされねば思いも寄らぬ災難ばかりを受け、かつて何一つ成功したことのない、事業好きの四拾男が、生来の食いしん坊ぶりを発揮して、漁り歩いた漫録である。
世間から太鼓の判を押されている評判料理で、行脚記から抹殺したのもあれば、開業ほやほやで余り知られていなくとも、調味万端の行き届いた店は、このお筆先に載せることにした。
図々しくも老舗の看板や、人気のあるのを振りかざしてその実、お客に煮え湯を呑ませる店もあれば、暖簾名だけを高い権利金で買い受けて、胴体は羅宇のすげ替えもある。客は一切ご存じなし、雁首の暖簾をくぐっただけで、悦に入ってござるのは、笑止千万、気の毒至極である。
漫録として筆を起こしたので、その店の料理談、苦心談、由来談から史実の裏面史とも言うべき、風俗世態の一端について、見たこと聞いたことを、書き綴ってみた。
蒲焼屋あり洋食屋あり、支那料理もあれば一品料理もあり、天ぷら屋あり蕎麦屋あり、菓子屋あり、汁粉屋もあり、著者が白羽の矢を立てたうちで、その粋を引っこ抜いたのが、そもそも是れである。
特権階級でなくば、芸者本位の贅沢極まる料理は我々民衆が目指す的ではない。あくまでも料理の実質と、その環境に立脚して、世評に基づき独断を避けたが、詮衡(せんこう)の可否は、個々の意見もあろうと思う。
要するに之れが結論は、客に対して忠実であるか否かである。
大正十四年の初夏
著者識
◇本書で紹介されている料理店(掲載順)
※太字は現在(2016年11月)でも営業していることが確認できたお店です。
・春風 [天ぷら](日本橋)
・橋善 [天ぷら](新橋)
・抜天堂 [かすてら](日比谷)
・花むら [お手軽料理](室町)
・花屋 [お座敷天ぷら](濱町)
・橋本 [蒲焼](江戸川)
・虎屋 [饅頭と羊羹](赤坂)
・陶々亭 [支那料理](日比谷)
・豊田屋 [猪料理](両国)※現「ももんじや」
・ちまきや [餅菓子](赤坂)
・近定 [薯羊羹](向柳原)
・地久庵 [蕎麦](神保町)
・大和田 [蒲焼](六本木町)
・大常盤 [和洋料理](小川町)
・偕楽園 [支那料理](傳通院)
・丸びる 花月 [日本料理](丸の内)
・金田 [鶏鍋](浅草)
・蠣廣 [牡蠣料理](新宿)
・海曄軒 [支那料理](本石町)
・日比谷 花月 [和洋料理](日比谷)
・興兵衛鮨 [握り鮨](両国)
・米久 [牛鍋](浅草)
・大增 [折詰料理](室町)※現「日本ばし 大増」
・蓮玉庵 [蕎麦](上野)
・仲清 [天ぷら](浅草)※現「中清」
・来々軒 [甘栗](桜田本郷町)
・雲水庵 [雲水料理](向島)
・中田 [兎料理](須田町)
・うぐひす [鳥料理](江戸川)
・梅村 [雑煮](日本橋)
・梅園 [汁粉](浅草)
・伊奈佐 [鯨料理](両国)
・空也堂 [最中](上野)
・藪蕎麦 [茶蕎麦](須田町)
・山喜 [鮮魚料理](大塚)
・山の萬世庵 [蕎麦](浅草)
・まるや [すっぽん料理](上槇町)
・松崎 [煎餅](京橋)※現「京橋松崎せんべい」
・風月 [西洋料理](京橋)
・深川屋 [蒲焼](下谷)
・風月堂 [菓子](南鍋町)※現「株式会社東京風月堂」
・鴻之巣 [西洋料理](銀座)
・小満津 [蒲焼](京橋)※現在は直系のご家族が東高円寺に移転して営業中
・胡萩堂 [萩の餅](新橋)
・幸樂亭 [牛鳥料理](日比谷)
・言問亭 [言問団子](向島)現「向島 言問団子」
・駒形泥鰌 [泥鰌料理](浅草)※現「駒形どぜう」
・東亭 [西洋料理](三崎町)
・東壽司 [握り鮨](日本橋)
・揚出し [豆腐料理](上野)
・秋茂登 [汁粉](浅草)
・赤瓢箪 [一品料理](銀座)
・笹の雪 [豆腐料理](上根岸)
・更科 [蕎麦](永坂)
・龜樂 [煎餅](銀座)
・紀の善 [寿司](神楽坂)※現在は甘味処として営業中
・三河屋 [牛鍋](四谷見附)
・重箱 [川魚料理](山谷)
・食道樂 [江戸っ子料理](上野広小路)
・塩瀬 [饅頭](有楽町)※現「塩瀬総本家」
・拾二ヶ月 [汁粉](三十間堀)
・島村 [鶉料理](通四丁目)
・恵比寿亭 [牛鳥料理](神楽坂)
・榮太僂 [羊羹と甘豆納糖](日本橋)※現「榮太樓總本鋪」
・平野家 [京都料理](日比谷)※東京支店は現存していないが京都に本店がある
・氷月亭 [汁粉](上野)
・森八 [落雁](本石町)※東京支店は現存していないが金沢に本店がある
※本文中に記載されている住所、電話番号は当時のものです。
◇行脚茶話(エッセイ)
・甘栗の儲け振り
・鰻の軽子賃
・藤村の羊羹
・冬木庵
・コックの王冠
・剣呑なフライ料理
・東亭の日課
・俳優の好む座敷
・業平団子面喰ふ
・独逸の蠣料理
・末廣の水炊
・八百善
・蕎麦屋丼の元祖
・合の子辯富の元祖
・鰻取り召せ
・曹達水笑話
・汁粉の濫觴
・女給の元祖
・支那料理の解説
・羊羹は儲け過ぎる
・ビアホールの元祖
・天狗の小料理
・珍談西瓜の種
・丸新の天ぷら
・支那の本場料理
・日比谷の八洲亭
・歌舞伎の食堂
・鈴辯最後の鰻飯
===
※本書は国会図書館デジタルコレクションがインターネットで公開しているデジタルデータを元に制作しました。原著となる「食行脚 東京の巻」は「合資会社 協文館」から大正14年に発行されました。同作品は著作権保護期間を満了したパブリックドメインです。内容には一切手を加えておりません。一部読みにくいところや、現代では自粛すべき表現、一般に通用しにくい言い回しなども含まれております。ご了承ください。
※本書はすべて画像で構成されております。
表紙イラスト:川瀬巴水「東京十二題 日本橋(夜明)」より